こんにちは。土木設計歴30年、AI土木研究室です。
CAD支援ツールの「作業時間が○%短縮」という数字は、正直あまり信用していませんでした。条件のいい1件だけを切り取れば、どんな数字でも作れるからです。
そこで、CADDONの会員11名に同じ業務をやってもらい、AutoCAD単体とAutoCAD+CADDONで作業時間を実測しました。対象は実務でよく出てくる4業務です。
先に結論だけ書くと、4業務の合計で 40.0時間 → 26.4時間。13.6時間、率にして34%の短縮でした。しかもこれは無償版のCADDONで出た数字です。
検証の条件
- 参加者:CADDONの会員11名。土木設計の実務経験なし(作業ごとに8〜11名が実施)
- 比較対象:同じ11名がAutoCAD単体(CADDONなし)で同じ作業を行った場合の平均作業時間
- 使用ツール:AutoCAD + CADDON 作図補助ツール(無償版)
- 対象業務:用地面積ポリライン作成/地下埋設物の作成/擁壁展開図作成/土工根拠図作成
- 実施場面:CADDON SCHOOLの教育カリキュラム「CAD実践(4業務・実務演習)」の中で、受講者本人に時間を計測してもらった
ポイントは2つあります。ひとつは同じ人が、同じ作業を、両方のやり方でやっていること。人の上手い下手が結果に混ざりません。もうひとつは、その11名が土木設計の実務経験を持たない未経験者だということです。
検証結果:4業務で13.6時間の削減
| No | 作業名 | AutoCAD単体 | AutoCAD+CADDON | 短縮率 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 用地面積ポリライン作成 | 11.0 h | 6.9 h | ▲37% |
| 2 | 地下埋設物の作成 | 12.0 h | 8.0 h | ▲33% |
| 3 | 擁壁展開図作成 | 5.5 h | 3.7 h | ▲33% |
| 4 | 土工根拠図作成 | 11.5 h | 7.8 h | ▲32% |
| — | 合計 | 40.0 h | 26.4 h | ▲34% |
4業務で13.6時間。ほぼ2日分の工数が消えた計算になります。1案件でこれなら、月あたりの残業時間に効いてくるのは想像がつくと思います。
注目したいのは、4業務すべてで3割以上短縮している点です。特定の得意分野だけ速いのではなく、どの作業でも同じくらい効いている。これは「たまたま」ではなく、作図の型そのものが変わっているということです。
「未経験者の数字」であることの意味
ここは強調しておきたいところです。この11名は、土木設計の実務経験がありません。CADDONの会員として学び、これから実務に入っていく段階の人たちです。
普通に考えれば、未経験者ほどツールの恩恵は受けにくいはずです。使いこなせないからです。ところが結果は逆で、4業務すべてで3割以上短縮しました。
理由は、CADDONが作図の手順そのものを型にしているからだと見ています。ベテランが経験で身につけた段取りが、コマンドの中に組み込まれている。だから経験がなくても、その段取りに乗るだけで速くなる。
これは、実務で人を育てる側から見ると大きい話です。「まず手が動くようになるまで」の期間が短くなる。若手に図面を任せられるようになるまでの時間そのものが縮みます。
逆に言えば、経験者が使えばこの数字が上限ではないということでもあります。
業務ごとの中身
① 用地面積ポリライン作成|11.0h → 6.9h(▲37%)
アドオンを使って、用地ポリラインと計画ポリラインを作成する作業です。4業務のうち最も短縮率が高く、37%減。
用地関係は面積の根拠が残らないと後で困るので、手作業だと「描く」より「確認する」時間のほうが長くなりがちです。そこが構造化されると、一気に速くなります。
② 地下埋設物の作成|12.0h → 8.0h(▲33%)
延長80m程度で、水道・下水道・ガスの台帳から平面へプロットし、平面ができたら横断図にプロットする作業です。
この業務は、そもそも元データが台帳(紙・PDF)で、それを平面に起こし、さらに横断へ展開するという二段構えです。転記が2回発生するので、ミスも時間も膨らみます。ここが4時間縮んだのは大きい。
③ 擁壁展開図作成|5.5h → 3.7h(▲33%)
ブロック積擁壁と重力式擁壁の展開図を、手書きのポンチ絵からCAD化する作業です。
展開図は、区間ごとに高さが変わるだけで図形の型は同じです。にもかかわらず手作業だと毎回ゼロから引くことになる。ここは自動化と相性がいい領域でした。
④ 土工根拠図作成|11.5h → 7.8h(▲32%)
現況道路の拡幅で片側1車線、断面数5断面。土工根拠図を作成し、Excelで数量を入力するところまでが対象です。
図面とExcelを行き来する作業なので、CADだけを速くしても限界があります。それでも3割減っているのは、根拠図の作図側が固まったぶん、数量入力の手戻りが減ったからだと見ています。
個人差は消えない。でも全体が底上げされる
正直に書いておきます。ツールを入れても個人差はなくなりません。
たとえば①の用地面積ポリライン作成では、同じCADDONを使っていても、最速4.0時間・最遅12.0時間と3倍の開きがありました。作図の段取りや、そもそもの用地図の読み方といった部分は、ツールでは埋まりません。
それでも意味があるのは、全員の平均がAutoCAD単体の平均を下回っていることです。速い人はもっと速くなり、遅い人も底上げされる。チーム全体で見たときの総工数は、確実に減ります。
「誰がやっても同じ品質」を狙うなら、ここから先は作図ルールの標準化とセットで考える必要があります。
カリキュラムが「約30時間」で組める理由
この4業務は、CADDON SCHOOLのカリキュラムでは「CAD実践(4業務・実務演習/約30時間)」として組まれています。
実測の合計は26.4時間。ほぼ想定どおりです。一方、CADDONなしだと40.0時間かかっている。つまり「約30時間で実務レベルまで持っていく」という設計自体が、CADDONを使う前提で初めて成立しています。
10時間の差は、未経験者にとっては学習の途中で挫折するかどうかの分かれ目になる幅です。ツールの効果は、作業時間だけでなく人が育ちきるかどうかにも効いています。
→ カリキュラムの詳細は CADDON SCHOOL をご覧ください(受講料0円・在宅・動画教材)。
これは「無償版」での数字です
ここまでの数字はすべて、完全無償のCADDON 作図補助ツールで出したものです。寸法・引出線・標高・勾配・法面ハッチ・文字・座標・図枠・Excelテーブルなど、日常の作図コマンドをまとめたプラグインで、クレジットカードの登録もいりません。
つまり、費用ゼロ・稟議ゼロで3割の短縮が出ているということです。
そのうえで、有料の専用セット(CADDON_pro)を使うと、対象業務によってはさらに桁が変わります。とくに②地下埋設物の作成と③擁壁展開図作成は、専用セットを使うと1/10〜1/5になります。
| 業務 | AutoCAD単体 | +CADDON(無償) | +CADDON_pro 専用セット |
|---|---|---|---|
| 地下埋設物の作成 | 12.0 h | 8.0 h | 1.2〜2.4 h |
| 擁壁展開図作成 | 5.5 h | 3.7 h | 0.6〜1.1 h |
※ 専用セットの値は、AutoCAD単体を基準に1/10〜1/5として換算した目安です。
差が出る理由ははっきりしています。無償版が「作図の1手1手を速くする」ものなのに対し、専用セットは作図そのものを生成するからです。地下埋設物セットなら平面トレースから属性登録、横断図の一括自動作図まで。展開図作成補助セットなら、ブロックごとの標高・根入れ設定から旗上げ配置まで一括で処理します。
導入の順番
おすすめの順番はシンプルです。
- 無償のCADDON作図補助ツールを入れる。費用も稟議も不要。今日から使えます
- 自分の業務で1件だけ実測してみる。この記事の数字と比べれば、自社での効果が読めます
- 地下埋設物や擁壁展開図が多い部署なら、該当する専用セットを7日間の無料トライアルで試す
いきなり全社導入しないこと。これは何度も失敗を見てきたので、強めに書いておきます。
※ 対応は AutoCAD 2025・2026・2027 です。AutoCAD LT には対応していません(APIの制限のため)。
まとめ
- 未経験の会員11名・4業務の実測で、40.0h → 26.4h(▲34%、13.6時間削減)
- 4業務すべてで3割以上短縮。特定分野だけの効果ではない
- この数字は完全無償版で出ている
- 地下埋設物・擁壁展開図は、専用セットで1/10〜1/5まで縮む
- 個人差は残る。ただし全員が底上げされる
「作業時間が減る」と言われても実感が湧かないものですが、13.6時間はほぼ2日です。その2日を設計検討や照査に回せるなら、成果品の質そのものが変わります。
まずは無償版を入れて、自分の手元で1件測ってみてください。数字は嘘をつきません。
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著者:AI土木研究室 / 土木設計歴30年。建設コンサルタントとしてインフラ整備に携わりながら、AI・自動化ツールの研究開発を行う。AI土木研究室(doboku-ai.jp)運営。
※ CADDON/CADDON_pro はイースタイルラボ株式会社が提供するサービスです。作業時間は業務内容・担当者・図面条件により変動します。掲載値は本検証時点の実測平均です。


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