こんにちは。土木設計歴30年、AI土木研究室です。
「働き方改革と言われても、納期は変わらないし人は増えない」。建設コンサルタント業界で働く方なら、誰もが一度はそう感じたことがあるのではないでしょうか。私自身、数量計算書のチェックや図面修正に追われて、深夜までオフィスに残る日々を長く過ごしてきました。
しかし、業務のDX化(デジタルトランスフォーメーション)に本気で取り組んだ結果、私の周辺では残業時間を月30時間削減することができました。この記事では、特別な予算も専任のIT部署もない中小の建設コンサルタントでも実践できた、具体的なDX化の手順を事例ベースでご紹介します。
建設コンサルタントの残業はなぜ減らないのか
まず、DX化の前に「なぜ残業が発生するのか」を整理しました。業務時間を1か月記録して分析したところ、残業の主な原因は次の3つに集中していました。
- 数量計算書の作成・照査などExcel手作業の繰り返し
- CAD図面の単純修正(旗上げ、レイヤー整理、形式変換)
- 報告書・打合せ資料の体裁調整や転記作業
注目すべきは、これらの多くが「設計の判断」ではなく「単純作業」だという点です。つまり、技術者の頭を使わない作業が残業の正体でした。ここに自動化の余地があります。
DX化ステップ1:Excel数量計算の自動化で月12時間削減
最初に着手したのは、最も時間を取られていたExcelの数量計算業務です。展開図から数量を拾い、計算書に転記し、集計表へ反映する。この一連の流れを関数とマクロ、そしてAIで自動化しました。
特に効果が大きかったのは「転記の排除」です。B調書からA調書、総括表への数値はすべてリンク参照に統一し、手入力をゼロにしました。これだけで転記ミスのチェック時間がほぼ不要になり、月12時間程度の削減につながりました。擁壁の数量計算については、重力式擁壁の数量計算を自動化する方法の記事で詳しく解説しています。
DX化ステップ2:AutoCAD作業の半自動化で月10時間削減
次に取り組んだのがCAD作業です。展開図の作図や旗上げ注記など、パターン化できる作業はマクロやLISPで半自動化しました。
ポイントは「完全自動化を目指さない」ことです。図面には現場ごとの判断が必ず入るため、8割を自動で処理し、残り2割を人が仕上げる設計にしました。これにより品質を落とさずに月10時間程度の削減を実現しています。当研究室で開発しているCADDON_proも、この「人とツールの分担」という考え方をベースにしたAutoCAD支援ツールです。
DX化ステップ3:AIによる文書作成支援で月8時間削減
3つ目はChatGPTなどの生成AIの活用です。報告書の下書き、議事録の要約、メール文面の作成といった文書業務にAIを導入しました。
もちろん、技術的な判断や数値の確認は必ず人が行います。しかし「ゼロから書く」のと「下書きを直す」のでは、かかる時間がまったく違います。打合せ資料の作成時間は体感で半分以下になり、月8時間程度の削減となりました。
DX化を成功させる3つのコツ
3つのステップを通じて分かった、中小の建設コンサルタントがDX化を成功させるコツをまとめます。
- 一番時間を食っている作業から着手する:効果が見えるとチームの協力が得られます
- 完璧を目指さず8割自動化で止める:残り2割は人の判断に任せた方が早くて安全です
- 小さく始めて横展開する:1人の成功事例を社内標準に育てるのが近道です
逆に失敗しやすいのは、高額なシステムをいきなり全社導入するパターンです。現場の業務に合わないツールは必ず使われなくなります。まずは手元のExcelとCADの改善から始めることをおすすめします。
まとめ:残業削減は「単純作業の見える化」から始まる
建設コンサルタントのDX化というと大げさに聞こえますが、実際にやったことは「単純作業を洗い出して、1つずつ自動化した」だけです。Excelの転記排除で12時間、CADの半自動化で10時間、AIの文書支援で8時間。合計で月30時間の残業削減は、特別な投資なしで実現できました。
浮いた時間は、本来の設計検討や若手の指導、そして自分の家族との時間に使えています。「人を増やせないなら、作業を減らす」。これが30年この業界にいる私がたどり着いた結論です。皆さんの事務所でも、まずは業務時間の記録から始めてみてください。
著者:AI土木研究室 / 土木設計歴30年。建設コンサルタントとしてインフラ整備に携わりながら、AI・自動化ツールの研究開発を行う。AI土木研究室(doboku-ai.jp)運営。


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